建物の解体工事には、自治体によって補助金が出ることもありますが、解体費用は建物の構造や規模、立地条件などによって大きく費用が変わってくるため、相場を知らないと費用面で不安に感じることも出てくるでしょう。
この記事では、解体工事単価の基礎知識と、解体工事でのトラブルを回避するコツを詳しく解説していきます。
解体工事に不安を抱いている人や、これから家の解体を行う際の、参考にしていただけたらと思います。
1.解体工事単価の基礎知識~概要から相場まで
解体工事単価の基礎知識と、解体費用の目安となる相場をみていきましょう。
1-1.解体工事単価とは?費用の計算方法の紹介
解体工事の費用は主に「坪単価」と「延べ床面積」によって決まります。
また、解体費用は次の式で計算できます。
解体費用=坪単価×延べ床面積
例えば、木造建物で延べ床面積が30坪の場合、坪単価が3万円ならば解体費用は以下のようになります。
3万円×30坪=90万円
1-2.解体工事単価でみる解体費用の目安
建物の構造によって解体工事の単価は大きく異なります。
構造別にわかりやすく、解体工事単価と坪数で解体費用の目安をみてみましょう。
◆木造建物
解体工事単価
坪単価: 1坪あたり約3万円~5万円
例: 30坪の木造住宅の場合、解体費用は約90万円~150万円
◆鉄骨造建物
解体工事単価
坪単価: 1坪あたり約4万円~6万円
例: 30坪の鉄骨造住宅の場合、解体費用は約120万円~180万円
◆鉄筋コンクリート造(RC造)
建物の解体工事単価
坪単価: 1坪あたり約6万円~8万円12
例: 30坪のRC造住宅の場合、解体費用は約180万円~240万円
1-3.土地面積と立地条件:解体工事単価の変動要因
建物の構造では、木造、鉄骨造、RC造の順に、坪数と比例して解体費用は高くなります。
立地条件としては、住宅密集地や狭い敷地では手作業が増えるため、費用が高くなることがあります。
また付帯工事で、 庭木やブロック塀の撤去、地中障害物の撤去費用も追加されることがあり、これらの要件で追加費用が発生することがあります。
2.見積りから契約までの流れと重要ポイント
ここでは、見積りから契約までのおおよその流れと重要ポイントについて解説していきます。
2-1.無料見積もり依頼:解体工事費用の算出方法
無料見積もりの依頼方法としては、地元の業者に依頼、または一括見積サイトなどを利用して複数の解体業者に見積もりを依頼し、比較検討することが可能です。
一部のサイトでは、簡単な情報を入力するだけで概算費用をシミュレーションできるサービスもあります。
そして、依頼する業者が決まったなら、現地調査に進みましょう。
実際の現場を見てもらうことで、より正確な見積もりを得ることができます。
また、解体工事費用の算出方法としては、
建物の構造と坪単価を掛け合わせて算出した費用+立地条件によって発生した費用+付帯工事費用+その他の費用(地中障害物の撤去費用やアスベスト除去費用など)
で構成されます。
また、追加で発生する可能性のある費用も考慮します。
2-2.解体工事単価以外にかかる4つの費用について
解体工事には、単価以外にもさまざまな費用がかかります。以下に、代表的な4つの費用を紹介します。
1. 足場・養生費用
解体工事中に発生する粉塵や騒音を防ぐために、足場を組んで防音パネルや防塵シートで覆う必要があります。これらの費用は「仮設工事費」として見積もりに含まれます。
2. 廃棄物処理費用
解体した建物から出る廃材の処理費用です。木材、コンクリート、金属など、廃棄物の種類によって処理費用が異なります。一般的には1立方メートルあたり1万5,000円~4万円程度かかります。
3. 埋設物の撤去費用
地中に埋まっている浄化槽や便槽、古い基礎などの撤去費用です。解体工事中に予期せぬ埋設物が見つかることもあり、その場合は追加費用が発生することがあります。
4. 重機回送費
解体工事に使用する重機を現場に搬入・搬出するための費用です。運搬車両のリース代やドライバーの人件費、燃料費などが含まれます。
これらの費用は、解体工事の総費用に大きく影響するため、見積もりを依頼する際にはしっかりと確認するようにしましょう。
2-3.廃棄物処分費用:解体工事単価に含まれるか?
一般的に、廃棄物処分費用は解体工事の単価に含まれていません。
解体工事の単価は、主に解体作業そのものの費用を指し、廃棄物の処分にかかる追加費用は別途発生します。
ただし、契約内容によっては、廃棄物処分費用が含まれている場合もありますので、具体的な契約内容を確認することが重要です。
2-4.事前に確認!解体工事後の税金負担
解体工事にかかる費用や税金は、地域や国によって異なる場合があります。
一般的には、以下のような税金が発生することがあります。
固定資産税: 解体された建物は通常、その年の固定資産税の課税標準から除外されます。
ただし、解体された建物の価値に基づいて課されることもあります。
◆廃棄物処理税
解体工事で発生する廃棄物の処理にかかる税金。
◆消費税
解体工事にかかるサービスに対して課されることがあります。
具体的な税金の負担については、地元の税務署や専門の税理士に相談することをおすすめします。また、解体工事を行う業者にも確認するとよいでしょう。
2-5.解体工事費用削減の秘訣:提案される業者を比較検討
コストを抑えるために、数多くの業者を比較検討するのがポイントです。そのための解体工事費用削減の秘訣をご紹介します。
◆複数の見積もりを取得
最低でも3社以上の見積もりを比較することで、相場が分かります。しかし安すぎる業者には注意が必要です。
◆過去の実績を確認
評判や過去の作業実績を調べましょう。口コミやレビューサイトを参考にするとよいでしょう。
◆詳細な見積書を要求
見積もりが具体的で明確であるかを確認しましょう。含まれる項目や追加料金についてもしっかり確認しましょう。
◆地元の業者を優先
運搬費用がかからない地元の業者を選ぶことでコスト削減が期待できます。
契約内容を精査:契約書に不明点がないか、疑問に思う項目があれば専門家に相談するのも手です。
これらのポイントを押さえれば、賢く解体工事費用を抑えることができるはずです。
3.解体工事のトラブル回避と安心依頼のためのコツ
解体工事でトラブルを回避し、安心して依頼するためのコツをいくつかあげてみます。
◆信頼できる業者選び
実績があり、評判の良い業者を選ぶ。
◆詳細な契約書
見積もりや作業内容、期間、費用などを明確に記載した契約書を交わす。不明点は事前に確認。
◆現地調査を依頼
業者に現地調査を行ってもらい、正確な見積もりを出してもらう。突発的な追加費用を避けるためです。
◆廃棄物処理の確認
廃棄物の処理方法や費用について事前に確認し、法令遵守を徹底しているかを確認。
◆近隣住民への配慮
工事前に近隣住民への挨拶や説明を行い、騒音や振動などのトラブルを未然に防ぐ。
◆保険加入の確認
業者が工事に必要な保険に加入しているかを確認。事故や損害が発生した場合に備える。
これらのポイントを押さえれば、トラブルを回避し、安心して解体工事を依頼できるでしょう。
3-1.解体工事業者選びのポイント:信頼性と対応力をチェックとトラブル回避
信頼性と対応力をチェックする際のポイントとトラブル回避のコツをみていきましょう。
◆過去の実績と評判
プロジェクトの成功実績や他のお客様からの評価を確認。
◆現地調査の対応
現地調査を丁寧に行い、具体的な提案や見積もりを迅速に提供してくれるかどうか。
◆ライセンスと資格
必要なライセンスや資格を持っているか確認。不適切な業者を避けるために重要。
◆コミュニケーション能力
質問や要望に対して迅速かつ明確に対応してくれるか。コミュニケーションがスムーズであることは、工事全体の円滑さに直結します。
◆保険加入の有無
工事に必要な保険に加入しているか確認。事故や損害に備えるため。
信頼性と対応力がある業者を選ぶことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな解体工事が期待できます。
3-2.近隣対策と撤去物件の売却方法
◆近隣対策
近隣対策としては、工事が始まる前に、近隣住民に対して工事の予定を通知し、工事期間や時間帯を説明しておきましょう。これにより、騒音や振動に対する理解を得やすくなります。
また、工事の騒音・振動対策: 騒音や振動を最小限に抑えるため、防音シートの設置や、作業時間を配慮するなどの対策を講じましょう。
◆撤去物件の売却方法
撤去物件の売却方法については、物件の状態や場所によって異なりますが、一般的には以下の手順があります。
①物件の評価
まず物件の価値を評価します。専門の不動産鑑定士に依頼するのが良いでしょう。
②物件の公示
撤去物件を公示し、買い手を募集します。インターネットや新聞、不動産業者を通じて広く公示すると良いでしょう。
③買い手の選定
複数の候補者が現れた場合、最も優れた条件を提示する買い手を選びます。
④売却契約の締結
売却条件が合意したら、売却契約を締結します。
④手続きの完了
最後に、必要な手続きを完了し、物件を正式に売却します。
具体的な手続きや法規制については、地元の自治体や不動産業者に相談することをおすすめします。
4.解体工事単価に関する総まとめと今後の展望
解体工事の需要は都市再開発やインフラ整備の進展に伴い、増加傾向にあります。
原材料や労働力のコストが上昇しており、解体工事の単価もそれにともない影響を受けるでしょう。
また、技術の進化としては、新しい解体技術や機械の導入により、効率が向上し、コスト削減が期待されています。
そして今後の展望ですが、環境保護の観点から、解体工事における廃棄物の処理やリサイクルの規制が強化される可能性があるため、環境に配慮した解体方法が求められるようになるでしょう。
また、労働力の不足が続く中、自動化技術の導入が進むことが予想されることから、解体工事の単価は今後も大きな変動が予測されるでしょう。
この記事では、解体工事の基礎知識とトラブル回避のコツについて解説していきました。
解体工事費用の相場や安く抑えるコツ、トラブル回避の対策などを知って、解体工事への迷いや不安を解消することができれば、スムーズに解体工事を進めていけるはずですよ!